The Hinumanist
本家ブログに収めきれない写真、載せるには長すぎる随筆を紹介していきます。
00:00 03月23日   [火]
下草が強い
キシャに乗るのは、お伊勢参り以来だろうか。
架線の無い非電化区間を行くのは久々のことだ。乗客の大半を高校生が占める信楽高原鐵道。この時間帯に勅旨で降りるような客は当然私だけである。

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この旅行記をご覧のみなさまには、どうして私が勅旨で下車したかはお分かりであろう。
【勅旨で直翅を直視する勅使】という本家サイトのタイトルは、この勅旨からきている。
だから本当に直翅を直視しようと(勅使にはなれないが)来てみてしまったのだ。

分かってはいたが、時期的に直翅を見つけるのは不可能だった。“勅旨田”はどこもかしこも寒々しい冬の様子そのままで、おまけに雨の降った後とくれば特にすることもない。
あくまでここまでの展開は予想ずみ。次なる目的の実行―地形図を頼りに山を目指す―に移る。

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しかし音がしない。ときたま、杉の高木がきしむ音が不気味に響くばかり。異空間をさまよっているような感覚がたまらない。それに、いたるところに“よさげ”な倒木が転がっている。松の立ち枯れが多い。クロナガオサムシはタコ採れだろう。
意気揚々と木を崩しては期待に裏切られる。オサどころか生き物が出てこない。
同じようにコケに覆われた崖からも音沙汰が無い。むなしくも土が崩れるばかりで、罪悪感が募る。
クマザサの生い茂る勅旨の森で失ったものは、なにも赤ボールペンだけではあるまい。

そうはいっても、本日のメインは勅旨ではなく“多羅尾”訪問であることを忘れてはいけない。33R関係者以外の方にはいわれが分からないはずなので、簡単に説明を加えると…

クラスに“タラオ”というあだ名を持つヤツがいる(その後“カスガ”にそっくりなことが判明)

ただそれだけのことである。
地形図を見た限りでは訪問の価値ありと判断できたので、旅程に加わる。
道行くところに出没する“多羅尾”を撮りながら顔がにやけてどうしようもない。時間と財布の都合で“信楽温泉 多羅尾乃湯”に行かれないのは残念な限り。

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周辺視野がふと排水溝の物体を認知する。オサムシではない。
両生類だ。黒い。これはサンショウウオだろうか。しかしなんでこんなところに…
つまんでみたら、なんだ。腹が赤い。イモリじゃないか。
呼吸を確認し、川に放り込む。恥ずかしながら、野生のイモリとの初対面であった。そして未だになぜ、あの場所に居たのかが理解できない。

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タチが悪いのは、オサかオサ屋か。
とにかくいる気がしない。そんなオサ屋の苛立ちが、すさまじい掘られ方をした崖に現れている(後述)。
西日本のオサムシとの相性の悪さは、2年前の第一回四国旅行で体感済みである。
その時ヨウロウオサムシを狙って玉砕した記憶がよみがえる。見た目がどんなに“美崖”であっても、そこにオサムシはいない。西のオサほど気難しいらしい。
崖の上にせり出した切り株には、土だまりがくっついている。何とはなしに崩してみると…

クワを振り下ろして目があった瞬間。
今までの苦労はどこ吹く風。このときめきを待っていたんだ。

シガラキオサムシ、ここに現る。
※同定の結果、イワワキオサムシであることが判明(3/29)

易々と2匹目が得られるほど、多羅尾攻略は簡単ではない。
とりあえず最低限の目的は果たした。雨も降ってきたことだし、ヘタに体力を浪費するより早めに山を降りるべきだ。
調べると、予定を切り上げることで乗車予定の“はまかぜ”を回避して乗車&特急料金を浮かせることができる。もしかしたら一生はまかぜに乗ることは無いかもしれないが、なにせ浪人の身。ぜいたくはしたくないし、第一出来ない。

だけどバスは意地悪だった。いや、私の歩行速度が遅いだけかもしれない。
バス停到着は14:04、バスは2分前に発車…

予定をくむ段階では、信楽駅から多羅尾まで本気で歩こうと考えていた。
それから駅のレンタサイクルの存在を知った。これを利用しない手はない。
地形図を見てあんまりに無謀すぎることに気がつく。山道の十数キロは初日に歩いていい距離ではない。平坦な道だからこそ、卒業式の17km徒歩通学が達成できたのだ。
バス代片道¥250は、奥多摩~日原間片道¥450と比べると安い方じゃないか。

昼ごはんのアーモンドと黒胡椒煎餅をたべながら30分、旅程を変更している間はよかった。後半は寒いだけ。多羅尾駐在所軒下での雨宿りは切ない。

信楽の土は白い。それだからか、沢がとんでもなくきれいだった。
その透き通る川底とともに、いつまでも美しくあってほしい焼き物の里。
今度来るときは、どうか晴れていて欲しい。
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